small talk - Vol.07 走る日と近場に対応する想定で
今回の記事はモーターサイクル歴1〜2年の方へ向けて冬季の遠出、それと同時に近場での乗車にも適した装備品を個人的な目線で紹介させて頂きたい。この記事に触れて専用品全般へ興味を持って頂けたら幸いに思う。
写真・文/菊地謙三郎
その過酷さを軽減できる度合いをご存じだろうか。
短い距離でも体が冷え切ってしまい、帰宅をしたら昼でも風呂に入るのが普通だった。乗り始め1年目の冬は装備どころか防寒の知識さえ無かった為、当然と言えば当然だ。
「専用品は比較的高価な為、本当に納得したものを選びたい」 と思っている反面
「情報過多で自身のモーターサイクルライフに何が合致するのか判断しにくい」 状況にあり
「過酷さを軽減できる度合いを知らない」 その為、必要とする意識が薄かった。
この記事を目にしている人にも、いくつか思い当たる部分があるのではないだろうか。 似た状況にある人にはこの記事は有用になり得ると思う。様々なウェアと比較し、ご自身にとって最適なモーターサイクルライフを過ごして頂きたい。
専用アウターの多くは防風素材が採用されていてプロテクターが装備できる、という事まではご存じだと思う。ここではもう少し踏み込んだ内容で、乗車姿勢に対応したアウターについてご説明したい。
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乗車姿勢に対応したアウターは、動きに際して一般衣類ほどのゆとりを必要としない傾向がある為、基本構造的にも「高速時の疲労」や「バタつき」を軽減している。
しかしながら、乗り始めた当時の私にこの言葉は刺さらなかった。なぜなら高速道路で風圧を感じるのは当然だと思っていたからだ。あの頃の私に必要な言葉は「風圧に耐えるのは無意味」だったかも知れない。
ご存じの人も多いと思うが、大幅に風圧が軽減されると、左右に流れる強烈な風の存在は感じるが正面からの風圧をほぼ感じない状態となり、風を切断しているかの様に感じる。
アウターによる防寒が目につきやすいように思う。しかしながらアウターと近いレベルで重要になるのがインナーによる防寒だ。特に冬季は防風性能をもったインナーをお勧めしたい。 防風性能をもったインナーは「アウターの隙間から侵入する風」を防ぐことが出来る。
しかしながら、乗り始めた頃の私はインナーの防風について正しく理解していなかった。なぜなら「隙間から風が侵入しない状態」を経験したことがなかったからだ。
余談かも知れないが、アウターとインナーの隙間を風が滑り抜けるという不思議な感覚を経験したことがある。アウター内部にあるインナーを奇妙な風圧が押してくるのは驚きだった。
この説明で信じて頂けるかはわからないが防風性能を持った高機能インナーの上下を試して頂くとご理解頂けると思う。
最も理解されていないのがパンツではないだろうか。あまり知られていないと思われる部分を中心にご説明をさせて頂こうと思う。
一般衣類では「マシンに跨った時は足首が見えそうになる」のはごく普通の為、問題視されることはないだろう。 専用品の多くは脚の角度をとることでこの問題の軽減を行っている。当然ながらパンツとブーツの重なる部分が多いほど熱を奪われにくい。
他には、腰全体の構造に工夫をしたり、細かな切り替えで構築することで着座姿勢で背中部分が空きにくい構造になっている場合などもある。
上記に紹介させて頂いた内容は、現実的な使用に添うように、機能と見た目の境界線で絶妙にバランスをとっている事が多い。
人体との隙間を最適化させて防寒を行うのは勿論だが、内容も見た目も人に合わせてこそ、衣類は必要とされるのではないだろうか。
寒さや疲れを軽減出来る度合いを知る為には体験が必要になるかも知れないが、是非とも楽しんで装備品を選んで頂きたい。