BALANCE
CB750とアイアンスポーツとジャコパストリアスと井川遥を愛してやまない、バイク屋を営む友人から革ジャンの修理依頼。
脇の下周辺の糸がほつれ口をパックリ開けています。
どうやら綿の糸で縫われているようです。
天然素材同士、革と綿の相性は抜群で、それ特有の魅力的な雰囲気を醸し出しますが強度面ではミスマッチ、間違いなく糸が犠牲になります。
本体革が破れるより先に糸が切れるのは良い事ですが、ヒューズ交換ほど簡単にはいきません。
早速裏地をほどき作業に取り掛かります。
破損部位の内側から、ミシンと手縫いを用いて " 強く 早く 美しく " 仕上げます。
” 手縫いだから強い " と言った概念に一理はありますが、しかし一つの方法に過ぎず重要なのは三拍子の調和なのでその場に最適な道具と方法を選び使い分けます。
以前、あるレザークラフトマンに " だけどミシンだと心がこもらないだろう " などと言われた事がありますが、偽善者に返す台詞はありません。
右袖脇の下の修理依頼でしたが念のため同じ環境にある左脇下をチェックするとやはりこちらも時間の問題、この様な場面に出くわすと手を出すべきか、そっとしておくべきなのか判断に迷います。
程度によっては追加料金が発生してしまいますし、あえて手を加えたくない何かしらの込み入った事情か拘りがなきにしもあらずですから、どんなに作業のリズムに乗っていても冷静に一旦手を止め担当スタッフに確認する事となります。
しかし今回はよく知る友人の革ジャン故、問答無用の作業続行、止まりません。
そして糸処理を終え、開いた裏地を閉じ無事修理完了。
ほつれた糸を縫い直す、ただそれだけの事ですが作業後には必ず深いため息がもれます。
確か奥さんからプレゼントされた特別な革ジャンだと言っていたっけ、、、
急いで届けましょう。
【市島】