small talk - Vol.02 旧内装の東京本店で往年を知る
small talk - Vol.02 旧内装の東京本店で往年を知る
2022年9月9日(金) カドヤ東京本店は、より洗練され落ち着いた雰囲気の内装へと生まれ変わり新たなスタートを切る。そこで今回の雑談(small talk)では、あえて旧内装のカドヤ東京本店を紹介したいと思う。過ぎた年を知ることで新たな店舗への期待を膨らませたい。
リニューアルオープン前に知る旧内装の東京本店
旧内装のカドヤ東京本店を一文で言い表すとしたら、それは「歴史とあたたかみを感じる空間」だったのではないだろうか。
金属質感の床とウォールナットの組み合わせの中に並べられたライダースジャケットと革製品達、それらの個々に備わっている物としての魅力。
いま振り返ると、販売している製品と展示棚などを含めた物の魅力、そしてそこに集まる人たちの雰囲気が「歴史とあたたかみを感じる空間」を創り出していたのだと思う。
2011年から2022年までの11年間をカドヤ東京本店の店長として過ごした為、旧東京本店については様々なことをお伝えできるかと思う。当時、店内展示の参考にしていたのは大型店舗に向けた書籍ではなく、個人宅向けに書かれたインテリアの書籍などだった。
カドヤ本社ビルの1階から2階までが東京本店、同ビル内には縫製工場「HEAD FACTORY」がある。その雰囲気を伝えたい想いがあり、ミシンの店内展示は長いこと考慮していた課題だった。そんな中、倉庫に眠っていたビンテージのミシン台を発見した時は心が震えた。
1階から2階への階段、欄間窓の梁上にはヘルメットが展示されていた。これらのヘルメットは約20年の間にひとつずつ増えていったもので、それぞれにストーリーがある。手前のふたつはケビン・シュワンツと東本昌平(敬称略)のサイン入り。
多くの人が集まる空間だったこともあり、知り合うはずのない人との出会いがあった。それがショップスタッフならではの面白味だったと思う。ひとつの例としては最高齢のお客様に60年前の東京とカドヤの話しを聞かせて頂いたことなどもあった。
毎日の様にショップにいると珍しい車両に遭遇することも度々あった。まるで自転車の様なさり気なさで1960年代のドゥカティシングル125cc、マリアンナが店の脇に停まっていた時には見間違いなのではないかと目を疑った。
「カドヤは昔っから店をやっている」とは先代社長、現会長の言葉。
歴史を重ねた背景を持つカドヤ東京本店のリニューアルオープンは9月9日(金)。装いを新たにした店舗のこれからに期待したい。