KADOYAの革ジャン四方山話 スタンダードモデル編
KADOYAの革ジャン四方山話
スタンダードモデル編
遥か昭和の時代に、とある革職人の手により生み出された定番と呼ばれるバイカーズウォレットがある。
日本で初めてサドルレザーを使って作られたバイカーズギアであるそれ は、40年近く経った今でも多くのバイカーに愛され続けている。
photograph(main cut): Satoru Ise
text : James Sekijima
model : Masaya Narita at COBOO
安全牌の裏にある愚直な進化。
作った本人でさえ定かではないという総個数は少なく見積もっても6000個。もちろんその間、革職人である以前にバイカーである作り手により、さまざまな仕様の変更がなされた。
ホックやジッパーなどの金具パーツの廃止、 免許ポケットの位置変更、付属するウォレットチェーンは編み込んだ革紐になり、かつては16cmのみだったウォレットそのものの大きさも 18cmとの2種類に……。
バイカーが必要最低限のものを持ち運べる、という基本コンセプトに変わりはないも のの、余計なものを廃しより機能美に特化していくこの変遷を、我々バイカーはリスペクトを込めてチョッパー化と呼ぶ。
そしてこのチョッパー化こそが、道具における進化の最も正しい、いや、最も美しいカタチだと思うのだがいかがなものか。
もうひとつ例を挙げる。プロレス技の超定番バックドロップ。
(当時:カドヤのユーザーで子供にも優しかったジャンボ鶴田さん)
マサ斎藤や長州力がやり始めた垂直落下式が一世を風靡し、後藤達俊 や齋藤彰俊、川田利明、あるいはスティーブウイリアムスなどの名手の手を借り、挙句にゲーリーオブライトというグレコローマン出身者ならではの破壊力MAXのぶっこ抜き系が登場してもなお、祖であるルーテーズのへそで投げる式を受け継いだジャンボ鶴田のバ ックドロップこそが最も美しく、しかも強烈だという声は多い。
もちろんそれは鶴田の体格や身体能力、格闘センスあってのものであるが、それでも鶴田がルーテーズの真似から始め、やがて不必要な部分をそぎ落とし自分流の技として特化させたからこそ生まれた最高傑作だと言える。
言うなれば鶴田のバックドロップは、バックドロップ界におけるチョッパー化の究極。少なくともワタシはそう信 じている。そして同じように、定番と呼ばれる最新ライダースにもそれが当てはまるのではないか。
一見それは数年前のそれとほとんど変わらな いように見える。定番なのだからそれでいいのだと思いつつ、カタログに添付された説明 書きを読むと、そこには「アクションプリーツの変更」「パターンの改修」「ポケット角度 の見直し」などの、機能美をより追及した旨の文言が並んでいる。
カドヤ流に言うこの「愚直な進化」こそがチョッパー化そのものなのだと思う。元祖バイカーズウォレットしかり、鶴田のバックドロップしかり、小手先の変化をよしとせず、真っ正直に正面からの追及を繰り返した結果としての到達点。
安全牌の地位に安穏としない「進化する定番」であり続けるからこそ生まれなそんな境地に、カドヤ流のチョッパー魂を見た。
着脱式ライナー
インナーにはZip着脱式のベスト型ライナーを採用。デュポ ン社のComformax中綿を使用し保温性に富む。
機能的な配置
使い勝手の 良い縦型ドットボタン留め内ポケットは、ライナー着脱に干渉 しない胸の見返し部にレイアウトされる。
重厚な部材使い。
YKKに特注した 重厚感のあるカドヤオリジナルスライダー。
機能するデザイン
線設計のアク ションプリーツは、スマートに収まりながら高い運動性を持つ。
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