KADOYA MAGAZINE Vol.10「職人」リフレザーの職人が教える革ジャンメンテナンス-03〜洗濯の選択編〜
「職人」リフレザーの職人が教える革ジャンメンテナンス-03
〜洗濯の選択編〜
「以前、自己流メンテナンスでどうにかやってきたけれど、気がついたらポケットの中や縫い目にポツポツと白いホコリのようなものが……。」
それ、残念ながらカビです。
こうなってしまったら被害の拡大を防ぐ意味も込めて、プロにメンテナンスをお任せするのもひとつの賢いセンタクなのである。
編集協力(Moto NAVI)写真(三浦 孝明)
長く付き合いたいからこそプロのメンテナンス!
バイクをメンテナンスするにあたり、いわゆる日常的な点検の延長線上にあるくらいのこと―消耗品の交換やグリスアップは自分でやっても、 フロントフォークのオーバーホールやタイヤ交換など、それなりの工具と設備が必要になることは迷わずショップに相談、というライダーは多いはず。
もちろんそれはレザーの世界でも同じこと。手に負えないトラブルが発生したというのなら、カドヤのリフレザーなどのクリーニングサービスに持ち込むのが最短ルートだ。
2005年に創業70周年を迎えたことを記念して始まったリフレザーも、いまではすっかり全国の革好きに浸透。 もはやライダーとしてリフレザーを利用する人より、革製品トラブル時の駆け込み寺としてオシャレ系レザーウェアやブランド物のバッグなどを依頼するユーザーのほうが多いという。
そんなリフレザー最大のポイントにして、サービスのキモとなるのが、使用しているレザーソープ。
詳細は明かせないが、この洗剤と職人のワザというふたつの歯車が噛み合うことで、この唯一無二の革専門クリー ニングが成り立っているのだ。
クリーニングの工程
企業秘密が詰まったレザーソープ入りのぬるま湯のなかで、まずはやさしく全体に洗剤を染みわたらせる。
脱水作業があるので、便宜上二槽式洗濯機の洗濯槽を使っているが、洗いはすべて手作業で行われる。
この手間ひまが評判の高さを裏付けるポイントとなるのである。
対象物の隅々にまでレザーソープが染みわたったかな?という頃合いで、 洗剤液から引き上げて脱水。
決して絞ったり押したりせず、ただ重力に任せてある程度の水を搾り取る。 汚れがひどいものだと、この時点で洗剤液が黒く濁ってしまうのだという。
作業台のうえにジャケットを広げ、特殊なレザーソープをまんべんなくかけていく。ニオイは特になく、 見た目にはただの洗剤といった感じにすぎない。
つけ置きしていたおかげか、 なんとなくこの時点でもう目に見えるカビや汚れは目立たなくなったように見える。
ブラシを使って入念に手洗い。シュッシュッと革の上をリズミカルにブラシが走っていく音が小気味良い。
なおここで使用しているのは、同じ浅草に店を構える「かなやブラシ」のもの。 新品のブラシと見比べると、実際に使われているものは毛が短く刷り減っていた。
別の工程をのぞくと、ライターを使って糸を焼き、縫い目に押し当てて糸の端を留める作業が行われていた。これは、長年着用したことで飛び出した糸の処理作業だ。クリーニング以外の部分まで作業が行き届いている。
「革が2枚以上重なってるところの縫い目を見れば、そのブランドの技術がひと目でわかります。 手前味噌ですがうちのHEAD FACTORYは別格ですね」
そんなリフレザーだが、今年は夏場でも閑散期がなかったというほど依頼が殺到しており、現在では納品まで3ヵ月待ちの状態が続いている。高温多湿のニッポンは革ジャンにとって決して条件のいい環境とはいえない。
自己流メンテナンスで満足していたら、カビに侵され真っ白に……。そうなる前に、そしてそうなった後にでも、大切なレザーアイテムを蘇らせる最終手段として、リフレザーを忘れるなかれ。
公式サイトからのオンライン注文のほか、 全国の直営店などで注文を受け付けている。