ROOTS
革の街・浅草
日本有数の歴史を持つ革ジャンメーカーであるカドヤ。その挑戦と革新の企業精神は創業から85年を経ても、揺らぐことはない。創業以来カドヤは浅草に根をはり営業を続けている。
浅草にカドヤが創業したのは、太平洋戦争がはじまる6年前の1935年。創業当初の屋号は「カドヤ皮服店」、いわゆる洋服屋である。職人の町である浅草には、当時から同じような洋服屋がたくさん営業していた。
東京・浅草は古くから革問屋が多く、皮革製品も盛んに作られていた。
創業者
深野正次郎
1935年(昭和10年)
創業者/深野正次郎が東京浅草にてカドヤ皮服店開業。
皮革産業のメッカである浅草の地の利を生かし革製品の修理、染め替え、革の仕立て服などを手がける。
「お客さんの要望に応えてこそ信頼が得られる」
バイク好きの正次郎が作る革ジャンは評判になりやがて一家言持つライダーたち大勢集まるようになってゆく。
オーダーメイド皮服店として長きに渡りレザージャケットを作り続けてきたカドヤの職人達は、時を重ねあらゆるニーズに対応できる技術を蓄積していった。
そして、世は大量生産大量消費の時代を迎え既製服主体の動向へと移り変わってゆく。
激動の時代の最中、2代目深野正孝率いる腕利きの職人たちは、従来のオーダーメイド製作を続ける一方で既製服の開発も水面下でスタートさせる。
オーダーメイドで培った一品生産の丁寧なものづくりと精神をそのまま既製服生産に置き換え、ついに2003年、時代と逆行するかの様に「一人一着縫い」スタイルに拘った純国産ブランド「HEAD FACTORY」を浅草の本社ビル内工場で立ち上げた。
技術と品質
革という特殊な素材を用いて機能服を作るとき、見えない部分にまでその神髄は宿る。
革は生もの、一枚ごとに個性は異なる。決して一辺倒な技術に頼っていては革を扱えない。
目の前にある1枚の個性を見極め、適した道具と技術を駆使し、製作方法は常に微調整される。
品質を守るため代々受け継がれてきたものは、多様な技術と、気づきの精神。
より良いものを生むために。
オーダーメイド品の作製、既製品の生産、そして修理。この三つに求められるスキルはそれぞれ異なる。
そして、この三角形の中心からヘッドファクトリー製品が生み出されていく。
多様なニーズに応え続ける事で見えてくる大切な事、それらは新たな製品の細部に盛り込まれ、形を変えて一着のジャケットに集約される。
責任と誇りから生まれる品質
オーダーメイドを源流に持つヘッドファクトリーの製品作りは、既製服作りにおいてもスタンスは変わらない。即ち、ひとりの職人が一品ごとに責任を持ち担当する「一人一着縫い」のスタイルだ。
生ものである革を扱うとき、完全マニュアル化された生産体制は逆に、結果として品質のブレを招きかねない。ひとり縫いによる職人の老練なさじ加減が、個体差の許されない既製品作りにおいても生きている。
作りに不備がない事はもちろん、長くご愛用頂くための配慮は出来ているか、厳格で真正な見極めを経て、HEAD FACTORYプライドを備え送り出す。
Leather material
MINKKUL
日本モーターサイクルスポーツ協会「MFJ公認レーシングスーツ」の公認レザーとして、KADOYAが長年使用し続けてきたもの。引張切断荷重、引裂荷重、摩耗強度など「皮革検査試験」を高い水準でクリアしている。原皮に使用するのは、牛革の中でもしなやかさが特徴の国内産ホルスタインレザー。フルクロームなめしで仕上げ、しっかりとしたコシを残しつつも柔らかく体に馴染みやすい。表面は強度を最優先に考え、染色された下地にラッカーによる顔料吹き付け処理が施されている。
VINTAGE STEER
革は、なめし方によって様々に風合いを変える。自然素材を使用したタンニンなめしは使い込むほどに風合いを増し「底艶が出る」と表現されるが、反面伸びと弾性が小さく、雨など水に弱い特性がある。一方クロムなめしは、風合いこそタンニンには及ばないが、引裂強度は高く衣類に適している。「ヴィンテージステア」はこれらを両立するために、クロムなめしを施した後、そのクロム成分を半分取り除き、さらにタンニンなめしを施す「脱クロ/ 混合なめし」を確立したもの。着始めから躰に拡がる一体感と、タンニン特有の腰を残したしなりと座りを感じとることが出来る。身体のクセを形作るという、古からの革の教えを再現した味わい深い仕上がりとなっている。
OILD VINTAGE STEER
ベースは前述のVINTAGE STEER同様の天然タンニンを多く含むコンビなめし。可塑性に富む渋なめし革の味わいに少量のクロム鞣剤を加えることで、しなやかさと物性堅牢度を高める。さらに適量のオイル分を浸透させ、表面のアニリン染料仕上げと相まって、より透明感と滑りのある独特な味わいを表現させたもの。
HF-GOAT
強靭で軽量、さらに表面摩擦に対しても高い強度を兼ね備えるゴートスキン。しかし、原皮一枚の面積と厚みがライダース ジャケットの理想に及ばない事が少なくない。この課題を、提携タンナーとの協力によりクリア。原皮の持ち味、野生的で自然な表情を引き出すシュリンク加工により独特なシボ感を表現した。天然素材で染め上げた深みのある色合いに必要最小限の顔料を吹きつけて、耐光、退色、摩擦堅牢度をより高めるとともに粘りのある引き締まった感触に仕上げ、表面上の経年変化を感じにくいゴートスキンの特徴を、より育て甲斐のあるものへと変えている。
HF-DEER
自然の中の色彩や風情を巧みに取り入れ、奈良の美しい四季の中で生まれ育った伝統、培われた技を、天然素材である「鹿革」の鞣し一筋に拘り生業とする「藤岡勇吉本店」。明治17年創業以来、100年をゆうに超える伝統のなかで代々培われてきた鞣しのノウハウを重んじながら、一方で化学的な技術データの処方箋化や蓄積、環境に配慮した鞣しの開発など、常に先見の明を持った研究を行っている。鞣しは風土的な要素が重要なため「藤岡ディア」には地元の水「菟田野の水」が必要不可欠となる。また、保温性と耐久性に配慮し、アフリカ産のチーク材を使用した本場スペイン製ドラムに拘る。鹿革の優れた特性である「しなやかさ」「丈夫さ」「やわらかな風合い」は、枚挙にいとまがない程の細部に渡る気配りと鞣しの確かな技術があってこそ実現する。
OVER KIP
成牛革のステアハイドに比べ、表面のキメが細やかで柔軟性に富むオーバーキップ。適度な堅牢度としなやかな感触が共存するオーバーキップは、着始めから馴染みやすい優しい素材。 北米産の厳選された原皮をクロムで鞣し、染料で仕上げた後、顔料で薄化粧を施した表面は落ち着いたマットブラック仕上げ。経年変化で艶を増し、上品なコントラストが楽しめる。
SERIES
HEAD FACTORY
変わることなく続けてきた「職人一人一着縫い」、カドヤ職人が培ってきた技と熱意、「普遍のスタンダードモデル」を軸に様々なプロダクトを提案。
MERIDEN
HEAD FACTORYの物作りの考え方がそのままに、さらにシャープなデザインに落とし込んだ商品群。バイクの革ジャンと街中の革ジャンが共存するプロダクトを提案。
HF LAB.
多様な縫製手法と革との対峙。その中で培われた創造性がHFの職人達にはある。職人達の個性にスポットを当て、従来のHFプロダクツとは異なるプロダクトを提案。
HF CLASSIC
流行に左右されない普遍的な服、手にした方にいつまでもずっと着続けたいと思っていただけるような、風合い豊かで着心地の良い上質な普段着しやすいプロダクトを提案。