Artículo: 異端ライディングパンツ CORSA LMX-COMB
異端ライディングパンツ CORSA LMX-COMB
どうも、アイキョウです。
今日はカドヤのCORSA LMX-COMBというライディングパンツを紹介します。
今期はカドヤから新作商品のレビューをご依頼いただいたので、第一弾としてこの新作ライディングパンツをお借りしました。
最近はライダーの価値観も多様化しているため、バイクでの使い勝手とデザインのバランスを試行錯誤している製品も多いです。
私の主観ですが、カドヤの製品はバイクでの動きやすさやプロテクション性能だけでなく、街着としても使いやすい汎用性の高いアイテムが多い印象です。
CORSA LMX-COMBもまさにそのタイプで、街着としての使いやすさや、長く使った際のエイジングを楽しみやすいパンツになっています。
それでは、早速ディテールからご紹介していきます。
ディテール
商品名:CORSA LMX-COMB |
カラー:ネイビー、ブラック |
サイズ:S~3L |
価格:¥25,300 |
この商品の主な特徴となるのは素材とシルエット 。
メイン素材はコットン100%の13.5オンスのセルビッチデニム。
ライディングパンツは、足の上げ下げなどで生地がつっぱるとストレスになるので、最近はポリウレタンなどのストレッチ生地を混紡するのが一般的です。
ワーカー向けのパンツだと10%前後混紡も珍しくありません。
ただし、ポリウレタンはコットンに比べて劣化しやすく、パンツに混紡して劣化を感じにくい割合は2~3%前後と言われています。
長く履いてエイジングを楽しみたいのであればストレッチ生地は入っていない方が良いことになりますが、そうすると今度は動きにくくなります。
また、あまり体にフィットしないシルエットだと高速走行時に生地がバタついたり、プロテクターがフィットしない問題が発生するので、ライディングパンツの多くは2~3%程度ストレッチ生地を混紡したレギュラやテーパードシルエットになっています。
ではCORSA LMX-COMBはどうかというと、コットン100%のセルビッチデニムで、ストレッチ素材は入っていません。
その代わり、太ももから裾にかけてワイドシルエットを採用しています。
この仕様だと、高速道路での走行時などで風向きやスピードによっては生地がバタつく可能性もありますし、膝プロテクターのフィット感もイマイチになることがあります。
ただし、デザイナーの意図としては街着でも使えるカジュアルさに振り切ったデザインだと感じます。
コットン100%なら、やはり経年変化も楽しみたいところ。
CORSA LMX-COMBのデニムはセルビッチ生地が採用されています。
セルビッチとは、生地の端にほつれ止めが施された、旧式の織り機で織られたデニム生地のことです。
裾を裏返すとわかりますが、生地の端部分には赤い糸が使われており、ビンテージデニムが好きな人達には「赤耳」と呼ばれる仕様になっています。
今ではあまり使われていない旧式の織り機で作られているので、通常のデニムよりも弱い力で織られていてます。
そのため柔らかく、履きこんでいるうちに馴染みやすいのが特徴です。
さらに、同じ生地の中でも密度が微妙に異なるため、独特の経年変化を楽しむことができます。
このセルビッチデニムに合わせられているのが、裏地のポリエステルメッシュと内腿のウォッシャブルレザーです。
パンツの前側にはプロテクターを装備するために、ポリエステルメッシュ生地が縫い合わせられています。
このメッシュは、プロテクターが入っている膝下あたりまでカバーされています。
そのため、裾上げして長さの調整行うことも可能です。
プロテクターポケットには白い紐が横に3本入っており、必要に応じて切ることでプロテクターの位置を調整できます。
内腿からひざ下までは牛革のウォッシャブルレザーが採用されています。
ウォッシャブルレザーは基本的にメンテナンスがほとんど不要なので、ズボラライダーでも安心して使うことができます。
この素材を採用した狙いは、タンクやシートに対して革パンツに近いグリップ感を出し、ライディングを補助することです。
しかし近年では、グリップサポートよりもヒートガードとしての役割が期待されているように思います。
特に昨今の排気ガス規制の影響で、燃料に対して空気が多めの希薄燃焼が求められるケースが増えてきています。
その結果、エンジンは熱を持ちやすくなります。
加えてここ数年の夏は猛暑になることが多いので、内腿の低温火傷を防ぐためのヒートガードパンツの需要は徐々に高まっている印象です。
革製品の老舗ともいえるカドヤから出ていないのが不思議なぐらいだったのですが、今年の秋冬モデルでようやく登場しました。
私の愛車のCRF250ラリーでは、マフラーの取り回しの関係でひざ内側あたりが熱くなってきます。
人によってはヒートガードしたい範囲は違うかと思いますが、CORSA LMX-COMBは比較的広い範囲をカバーしていると感じます。
個人的にはふくらはぎあたりまでカバーしてほしかったところですが、そうするとワイドシルエットとの兼ね合いや裾上げの事を考えると、これ以上の範囲の調整は難しかったのかもしれません。
デザイナーがカジュアルに振り切っていると感じる理由のひとつに、ポケットなどに使われているリベットがあります。
ライディングデニムでは、低頭リベットを使ったり、そもそもリベットを使わない製品もあります。
しかし、CORSA LMX-COMBでは一般的なリベットを使用しており、車体を取り回す際には当たらないように配慮が必要ですが、見た目としては一般的なリベットの方が好ましい印象です。
また、カドヤらしさを感じるポイントとして、リベットやボタンの表面には打刻がなく、裏側を見るとYKKの刻印が入っていました。
本来であればYKKの存在を主張したいところですが、あえて目立たせず、ソリッドで無骨なイメージを持たせています。
見た目に関しては、後ろの腰部分に貼られた革パッチも特徴的です。
「KADOYA」「ASAKUSA」「TOKYO」といった文字が入っており、下町メーカーらしい雰囲気を感じさせます。
さらに、お尻のポケットにもウォッシャブルレザーがポイント使いされており、質感を高めています。
フロントポケットは、大きめのスマホを入れて少し出るぐらいの深さがあります。
また、転倒時に破れにくいよう膝部分は生地が二重になっており、上部がポケットになっています。そのため、スマホはここに入れるのも良いかもしれません。
サイズ感
着用者スペック:身長164cm 体重59Kg 自転車と軽度な筋トレが趣味
普段はSサイズ、もしくは28~29インチぐらいのデニムを履くことが多いのですが、秋冬は厚手のタイツを重ねることも多いので、今回はMサイズを選んでみました。
普段よりワンサイズ大きいのでベルト必須かと思いましたが、意外とウエストはタイトなので、3シーズン着用する場合でもワンサイズアップがおすすめです。
腿から脹脛にかけては、かなりワイドなシルエットになっています。
自転車トレーニングで腿がパンパンの状態でも、腿周りには少し余裕があり、ふくらはぎ周りにはかなり余裕がありました。
裾もワイドなので、基本は ブーツアウト での着用になります。
プライベートで着用する場合は、裾を二回ほど折り返して赤耳を見せるのもおすすめです。
バイクで使ってみた
10月だというのに気温は29℃。
晴れた日にCORSA LMX-COMBを履いて、愛車のCRF250rallyで出発。
汗ばむような陽気でしたが、適度な通気性があり、前側にメッシュを採用していることもあって蒸れはほとんど感じません。
フィットしている 腿 は風の侵入を感じませんでしたが、ゆとりのある ふくらはぎ周り では多少風を感じました。
ウォッシャブルレザーの効果でニーグリップしやすく、お尻はずれにくいので長距離ツーリングでは疲労軽減に繋がりそうです。
ただし、マイナス点も。
それはオフロードバイクのようなシート高が高いバイクの場合、停車時にお尻ずらす必要がありますが、滑りにくいので少し勢いをつける必要がありました。
懸念していたバタつきに関しては、CRF250rallyはカウルの影響で足に風が当たりにくいので、スピードを出してもありませんでした。
生地がさらに薄ければバタついたかもしれませんが、長距離もツーリングも問題なさそう。
ただし、これは車種との相性にも左右されそうです。
プロテクターも比較的フィットしていたため 安心感 がありました。
ただし、これは筆者の足が太めで膝回りも太いためであり、細身の方には少し合わない可能性もありそうです。
中年ライダーにはピッタリのライディングデニムかも
筋肉は、何もしなければ加齢に伴って徐々に落ちると言われています。
同時に代謝も落ちるため、腹や足に贅肉がつきやすくなり、体型の維持が難しくなります。
そうなると、テーパードやレギュラーシルエットのライディングパンツは動きにくく感じることがあるかもしれません。
その点、少し太めのパンツは普段通りのアウターと組み合わせることで細見え効果もあります。
バイクに乗るときのファッションにこだわりたい人にも、ぴったりの選択です。
さらに、今期はカドヤ90周年記念の特別な革ジャンも発売されました。
このパンツと合わせたコーディネートもいいかもしれませんよ!
Subtítulo
Tu líquido

12年間バイクパーツメーカーに勤務したのち、現在はバイクやアウトドアメディアのライターや、ワークウェアメーカーのアンバサダーも担当。
YouTube「アイキョウ バイクチャンネル」ではバイクの試乗、ヘルメットやジャケットなどの用品レビュー、時事ネタに関する考察など、バイクに関することを幅広く発信中。