革包丁
革を削いだり、裁断したりするのに使う小さな包丁。
木製のしっかりとしたグリップ(柄)と厚みのある刃により
3ミリ以上ある厚い革もスっと1発で切る事ができます。
使用頻度に伴い、研ぎを含めたメンテナンスに費やす時間も
多くなります。
それ故に手製のケースを用意したり大切に使いたくなる道具のひとつ。
刃の幅と形状は使用目的に合わせて選択。
裁断途中で刃を研ぎなおす手間を省くため、常に2~3本を所有します。
【左】最近、新人が使い始めたもの。白い柄と長い刃。
初めて新品の包丁を手にした当時を思い出します。
【左から二番目】6年近く使っている自分の包丁。徐々に短くなっていく刃は
気がつけば半分の長さに。
【中央】包丁の師匠でもある縫製主任のもの。長く使う事で魅力が分かる刃物。
ここまで短かくなった刃を見ると、道具に対する愛着と歴史を感じます。
【右から二番目】最年少の若手職人が使っているもの。研ぎの加工で鋭角に
変形させた刃先。極度なトガリ具合は若さ故に・・・
【右】包丁一筋50年の熟練職人のもの。
革以外の生地も裁断するので使用頻度は高く、1年で2本を使い切るサイクル。
累計するとこの包丁は100本目を超えています。感服の至り。
刃が研がれた包丁での裁断は静寂そのもの。
耳を澄ませるとスーっと革の繊維が切れる音と職人の息遣いが聞こえます。
【中村】