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記事: small talk - Vol.06 写真と記憶と体験など

small talk - Vol.06 写真と記憶と体験など

地平線をバックにしたオーストラリアの道路標識

small talk - Vol.06
写真と記憶と体験など

ライフスタイルに一考のある人物が比較的多く集まった企業。その企業に務める社員の記憶を描き出せたのなら、どんな風景を見ることが出来るのだろうか。今回はカドヤの社員に写真を借りて紹介しようと思う。


写真に視点を重ね その体験を感じて欲しい

カドヤの社員の中には英国で音楽をやっていた者や、沖縄で旅の沈没を経験した者もいる。かく言う私自身も倉庫での爆発(俳優だった頃の撮影)等、通常は見ることのない風景を見ている。

 

彼らは写真を残している訳ではない為、茫漠なバックグラウンドに対して紹介できる写真はあまりにも少ないが、写真の視点にご自身の目を重ね、旅の一端を感じて頂けたら嬉しく思う。

 

二台のバイクの先にある道路の陥落

Photo Kei.M

令和元年10月、千葉県を中心に被害があった豪雨災害の数日後、絵にかいたような通行止めの道。樹々の間から雉鳩の鳴き声が聞こえてきそうだ。 車両は左YAMAHA SR(カスタム車両)、右YAMAHA Tricker XG250。

 

環状八号線の渋滞

Photo Kenzaburo.K

首都圏のバイク乗りがツーリング帰りに高確率で遭遇する環状八号線の渋滞。夕刻の渋滞にはまると何故か数十年前を思い出することはないだろうか。環状八号線近くにこの上ない狭さの部屋を借りていた頃を思い出す。

 

ややシルエットとなった田沢湖の夕景

Photo Atsushi.S

日本で最も深い湖、田沢湖は屈指の透明度を併せ持つ秋田県の景勝地。写真の田沢湖遊泳場では、日本では珍しい海水浴ならぬ湖水浴が楽しめる。バイク旅の夕暮れが特別なものに感じるのは私だけではないだろう。

 

曇り空の浄土浜

Photo Kensuke.M

非現実的な表情を見せるのは岩手県の浄土浜。通常期はエターナルグリーンの海がある観光地として知られている。盛岡藩領の僧侶が息をのむ美しさの浜にたどり着いた時、極楽浄土のようだと言葉を漏らしたのが名称の由来。森を分け入った先の絶景、それはバイク乗りの経験と重なるように思う。

 

人物のシルエットの向こうにあるイタリアの建物

Photo Wataru.K

当時、住んでいた部屋は築年数400年。彼は日本からイタリアに居を移しデザイン業務に従事していた経歴の持ち主。モーターサイクルに乗ることを選択する人物は発想の段階から自由度が高いように感じる。

 

鬱蒼とした森の中のテント

Photo Mitsuhiro.M

写真に違和感を覚えるのなら、それは植物の大きさのせいだろう。テントの脇に自生する傘にもなりそうな植物は沖縄県八重山諸島の名が付くヤエヤマクワズイモ。1991年、海の近くでサトウキビの収穫を手伝いながら暮らしていたという。夜、延々と続く波の音を聞きながらランタンの灯りで文庫本を読んでいる姿が想像できる。

 

地平線あで続く未舗装の道とハンターカブ

Photo Sinji.I

1998年4月7日、オーストラリア現地にて現像された写真。この地平線を渡りきるのに何日間を要したのだろうか。撮影時の高揚と緊張、そして現像に至った町での安堵が想像できる。車両はHONDA CT110 Hunter Cub。

 

前方に見えるラクダの群れ

12th.May.1998 Photo Sinji.I

 

 

ご紹介させて頂いた風景は言うまでもなく、あなたや私の体験ではない、言ってしまえば日々メディアで消化されるのと何ら変わらない単なる写真だ。しかし写真を見て風を感じられるのは、形は違っても共通する体験があるからこそだと思う。

 

憧憬の念を抱く特別な場所。 そんな場所を探し訪れた時には写真を撮ってみてはいかがだろうか。

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この記事を書いた人 / 菊地 謙三郎

カドヤ東京本店の店長を約10年間務めた後、営業部 EC課に配属。

東京本店では多くのオーダーメイドやリペアに触れ、レザージャケットへの見識を深めた。カドヤの以前には、バイク専門誌『BORN Biker's』(モーターマガジン社)の編集員に名前を連ねたことも。

車歴はGILERA SATURNO350、HONDA XR600R、SUZUKI DR-Z400S、DUCATI 350F3等。