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記事: small talk - Vol.05 細部に宿る縫製工場の魅力とは

small talk - Vol.05 細部に宿る縫製工場の魅力とは

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small talk - Vol.05
細部に宿る縫製工場の魅力とは


職人の技術を感じる製品に心を揺さぶられた経験は多くの人が経験していると思う。しかし工場の魅力を知ろうとした時にはそれとは別の視点が必要になる。今回はカドヤの縫製工場の写真と共にその魅力をお伝えしたい。


その魅力は広く知られず職人は気に留めない

製品の魅力が技術に支えられているのは説明するまでもなく、職人が日々求めているのは製品に表れる結果だろう。それに対して工場そのものに魅力は必要とされていない。求められるのは作業性等の実質的な部分となる。

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では工場の魅力はどこに宿るのだろうか。私がこれまでに見つけた工場の魅力は見逃してしまいそうな細かな部分、あるいは誰もが当たり前だと思っている部分に多くあった。細部まで気を配られた職人の仕事を理解しようとするのなら、細部に目をやるのが常道なのかも知れない。

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一般的な使用では想像できないほど使い込まれた道具等も一見の価値があるかも知れない。何気なく置かれている黒い柄をした道具、その新品時は肌色に近く、使い込むと飴色になり、そして最終的には黒くなる。

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包丁を使い終わった。その言葉の意味にもうひとつの解釈が存在することは画像の革包丁を見て知った。職人曰く、短くなりすぎた革包丁は革以外のものを裁断するのに使用しているとのこと。

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機械に強い職人と書くと少しイメージと異なるかも知れないが、使用する機械の日常的な整備や調整は職人が行う。その姿がモーターサイクルの整備や調整などと重なって見えてしまうのはカドヤならではなのだろうと思う。

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職人仕事を手がけたことのない私の様な人間から見ると、細かな工夫は当然の事として息をするかの様に実行されているように見える。「当然の事は言葉にする機会がない」寡黙な職人のイメージは、そんなところから来てるのかも知れない。

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工場という空間に俗脱的な雰囲気を漂わせるのは、仄かな人間感を滲ませる複数のトルソ。店舗にあるトルソのように整然と並んでいることは少なく、必要な時に呼び出されるところにトラジコメディー的な人間っぽさを感じる。

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工場に巨大な機械等を期待して頂いていたのなら、その期待を裏切ることになったかも知れない、ただ別の角度からの魅力を感じて頂けたのならば嬉しく思う。

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この記事を書いた人 / 菊地 謙三郎

カドヤ東京本店の店長を約10年間務めた後、営業部 EC課に配属。

東京本店では多くのオーダーメイドやリペアに触れ、レザージャケットへの見識を深めた。カドヤの以前には、バイク専門誌『BORN Biker's』(モーターマガジン社)の編集員に名前を連ねたことも。

車歴はGILERA SATURNO350、HONDA XR600R、SUZUKI DR-Z400S、DUCATI 350F3等。