KADOYAの革ジャン四方山話 バイカーベスト編
KADOYAの革ジャン四方山話 バイカーベスト編
「人間には二種類ある。オートバイに乗る奴と、乗らない奴だ」
ベストについて考える時、どうしてもモーターサイクルクラブ(以下MC)について考えてしまう。
photograph(main cut) : Fumiharu Kanazawa
text : James Sekijima
model : Yota Matsui
Special Thanks : TT & Company
ベストの存在理由に関する勝手な考察
冒頭はバイク乗りに関する日本一有名な総括であるが、なにせその発言者が日本の元祖MCのボスである。であればこの言葉が(真意はどうであれ)「MC→カンバンもしくはカラー→ベスト」という誇り高き方程式をも言い当ててているに違いないと、積極的に想いを巡らせてみたい。
平たく言えば、MCにとってカンバンもしくはカラーは唯一無二の象徴であり、その象徴の受け皿としてのベストもまた然り、ということで、バイカーにとってのベストの存在理由としては、まずこれが第一義。
翻って第二義は、やはりその性能面であろう。かつてのペラペラだったりGジャンカットオフといったベストですら、それを1枚羽織るだけで暖かさが全然違ったし、何より安心感という最も大事な性能に満ちていた。しからば昨今の上質で肉厚な革で作られたベストであれば言わずもがな。そこを追及しすぎて結果本末転倒になるという日本人の悪い癖が発露しない限りは、バイカーにとってベストは非常に相性のいいアイテムなのだと思う。
そんなに小難しく考えるな!? カッコ良ければそれでいいだろ!?
まあ確かにそれはそのとおりなのだが、件のボスのこれまた別の発言を自分なりに解釈して出した答え、「バイクに乗っているからバイカーなのではなくて、バイク乗りの精神で考えるからバイカーなのだ」という点に鑑みて、ベストはかなり考察し甲斐のある素材ゆえ、今だけは調子に乗らせていただきたい。
さてそんなベストであるが、昨今はいわゆるクラブベストというやつが大人気。筆者には、日本でベストと言えばチョッキ型だった20世紀末にスタージスに行った際、本国のMCの面々がかつての(今でもあるが)カットオフの革版とも言えるこのスタイルのベストを着ているのを見て(たぶんメーカーはオーチャードかネイタルレザー)「なんともカッチョええ」と感銘を受けた記憶があるが、それからあれよあれよという間にこのスタイルが日本でも浸透してきた。確かにベストに前述の第二義をより求めるのであれば、これは理にかなった現象だと思う。胸元が開いたチョッキ型よりカットオフ型の方が、性能的には確かに分がある。
が、しかし、ベストにはやはり第一義もあるのだ。いや、仮にカンバンもしくはカラーをつけなかったとしても(=MCに所属しなかったとしても)、冒頭「オートバイに乗る奴」の象徴としてベストが存在すると考えれば(これがバイカーにとってのベストの存在理由の第三義)、カタチはどうであれベストはやはり我々の絶対的な相棒であるはず。バイク乗りの精神の証であるはずなのだ。
両脇の編み上げを絞って春夏対応
両脇に装備された編み上げ(6穴ハトメ&革紐)を絞ることで、Tシャツやワークシャツなど薄着の季節でもバタつかずタイトフィットに着こなせる。
編み上げを緩めて重ね着に対応
逆に編み上げを緩めて調整すれば、厚手の革ジャンにもジャストフィットでコーディネイトが可能。襟元のVゾーンは、ダブルライダースに合わせてもバランスが良いパターンカッティングとなっている。
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