作る事と直す事

皆様こんにちは、市島です。

先日、いつもお世話になっているタレントの末飛登さんから、こんな質問を受けました。

「他ではやっていないKADOYAならではのこだわりとは?」

創業80年を超えるKADOYAのこだわりを僕がお話しするのは少し躊躇しますが、「ヘッドファクトリーのこだわり」と言われれば、なんとか答えることが出来ます。

ヘッドファクトリーでは「一人一着縫い」という裁断から完成まで一人の職人が担当する手法をとっています。
これには一点物のオーダーメイドに力をいれてきたKADOYAの長い歴史的な背景があり、そこで培われてきたノウハウが既製品作りにも受け継がれ、必然的にいまのスタイルへと至りました。

「一人一着縫い」にはどうしてもデメリットの側面がついて回るのですが、それを上回る利点があって、だからこそこのスタイルを継続しています。

ただ、この優劣バランスを上手く内訳して端的に説明することは難しく、話が長くなってしまうので先の質問に対しては、そっと伏せさせていただきました。

代わりにハッキリと答えることが出来たのは、アフターケアとしての修理も行っているメーカーだということ。





勿論、修理を請け負っているところはよそ様でもあるのでしょうが、個人アトリエは別として、製作の現場で職人自らが修理も担当するメーカーはかなり希です。

ヘッドファクトリーでは、革ジャンを作っている職人の隣で別の職人が裏地交換などの修理をしている光景は普通です。





壊れたファスナーなどのパーツ交換ひとつとっても、壊れた原因について想像できることは沢山ありますし、袖の運動量を増やす目的でプリーツを新設するようなカスタム依頼があると、そこで考えなければいけないことは結構シビアで専門的です。

こうして修理やカスタムの作業を通じて得られる知恵と技術は製品企画に反映され、「作って直して」のサイクルがヘッドファクトリーの基盤になっています。

結局の所、「一人一着縫い」の利点のひとつがここにも繋がっていて、
一着の革ジャンを理解している職人だから出来る修理があり、その逆もしかり。
このスパイラルは間違いなくヘッドファクトリーのこだわりと言えます。





壊れたら直し、気に入ったものを大切に長く着る。

考えてみると、すごく当たり前の事なのですが、

いまの時流、ファストファッションの活躍を見渡すと、一概に言いきれない世の中なのかもしれません。


【市島】

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